図解 日本史

 歴史ブームらしい。それもあってか、この秋、歴史雑誌が2誌、創刊された。

 それを報じた朝日新聞の11月22日付け文化面によると【「戦国2大人気武将を徹底解剖 真田幸村 伊達政宗」。先陣を切って9月に創刊したのは月刊誌「歴史人」(KKベストセラーズ)。2号目の11月号で大奥、12月号で天皇を特集した。12月6日には季刊誌「歴史魂」(アスキー・メディアワークス)が旗揚げする。歴史雑誌では珍しく付録が売り物だ。創刊号には40分の講談CD「血風 桶狭間」と、雑誌本体のページ数の半分近い80㌻もの別冊コミックがつく】。

 なるほど、この出版不況の中で、新たに雑誌が創刊されるぐらいだから、歴史ブームは確からしい。

 そういえばこの夏、8月頃だったか、有楽町駅前にある大手書店に立ち寄った際、「1冊でわかる イラストでわかる」と銘打った「図解日本史」と「図解世界史」(いずれも成美堂出版、1300円)が、入ってすぐの所に平積みされていたのに驚いたものだ。有名作家による歴史小説でもない、単なる資料集が、他の書籍を押し退けて平積みされている。それほど売れているのか、と思ってしまった。

 両書ともA4判で150㌻ほど。地図や写真、図版をふんだんに使ったオールカラーの書籍で、図解日本史の方には「大ヒット 31万部突破」との帯が付いていたこともあり早速、両書を購入した。

 しかし、これって、家に帰ってジックリ眺めてみると、たとえば娘の高校時代に世界史の授業で使われた副読本「タペストリー」(帝国書院)と、ほとんど変わらないじゃないかと思ってしまう。それほどに一般向け書籍ではなく、どちらかと言うと歴史を系統立てて、少し学問として理解したいという読者向けだろう。

 そんな書籍が売れている。ちょうど11月20日には、朝日新聞の朝刊の3面下段に両書の広告が出ていたが、そこには、日本史の方は35万部突破、世界史については24万部突破となっていた。まだ売れ続けている。

 昨今の歴史ブームについては、様々な理由があるだろう。ここ数年「篤姫」「天地人」そして今年の「龍馬伝」と、NHKの大河ドラマがヒットしていることも、その背景にあるだろう。

 しかし以前、こんなことを聞いたことがある。「世相が暗くなり、人々が時代に閉塞感を感じ始めると歴史ブームが起こる」と。そうなのだろう。往々にして、人々は閉塞感を打ち破るために歴史という過去に「解」を求める。

 小泉政権が終わって以降の政治状況を見ると、あながち、それは間違いないように思う。とすると、このまま民主党政権が続くってことは、歴史ブームがますます広がっていくことになるのだろうか。それほど今の時代、閉塞感が漂っている。