2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「南無阿弥陀仏」も称えない

五木寛之の小説「親鸞」(上・下巻、講談社、2010年1月刊)を読了。面白い小説だった。これまでにも、親鸞を主人公にした小説や戯曲は少なくない。吉川英治、丹羽文雄、津本陽などがいる。そして古くは村上浪六の伝記的物語もある。 五木といえば、60…

トンネルを抜けると「南国」だった

小説は、まずエンターテイメントである必要があると思う。いかに多くの人に読まれ、そういった人々にいかに感動を与えるかが、その小説の評価軸の一つだろう。 その意味でいうと、昭和の大作家・川端康成の「雪国」って、一体何だろうと思ってしまう。ハッキ…

勝海舟の思い

これまで全く知られていなかった人物を主人公にし、その上で、その主人公を取り巻く周辺人物として、歴史的によく知られている人物を間接的に描いていく。こんな手法も、歴史小説の世界ではあったのだなあ、と思わせる小説に出会った。諸田玲子の「お順 勝海…

孔明の涙

「泣いて馬謖を斬る」という言葉がある。どれほど有能な人物であっても、失敗をおかした時は責任を取らされる、とでもいった意味だろうか。今でも、この日本ではよく使われる。そして、この言葉が生まれた経緯については、三国志自体がビジネス書などで取り…